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Interview
ベーシスト・町田類が語る、ジャズの魅力とアメリカ留学を決意したきっかけ
2024年参加者 / ベース 町田類
- 2025/03/03
- 2025/03/10
Profile
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町田類(まちだ るい)
町田類(まちだ るい)
2003年生まれ。兵庫県西宮市出身。小学1年生からピアノを、中学1年生からウクレレを始める。関西外国語大学入学後、JAZZ研に入部しコントラバスを始める。2023年、第41回浅草JAZZコンテストに出場し、審査委員特別賞受賞。2024年、Seiko Summer Jazz Camp 2024に参加し、最優秀賞受賞。現在は大学に通いながら活動している。
Seiko Summer Jazz Camp 2024の最優秀賞を受賞した町田類さんは、関西を拠点に演奏活動を行なっているジャズ・ベーシスト。彼がウッドベースを始めたきっかけやジャズに魅了された理由、Seiko Summer Jazz Camp 2024に参加して得たことなどを語っていただきました。
取材・文:菅野聖
撮影:樋口勇一郎、amigraphy
取材日:2025年1月26日
ベースと出会うまでの楽器遍歴
小学校一年生の頃に母から「バレエかピアノのどちらかを選んでレッスンに行きなさい」と言われ、家の近所でクラシックピアノを教えている個人教室に大学1、2年頃まで通いました。ピアノが弾きたかったというより、バレエのあの衣装を身に付けて踊るのが嫌だったんです(笑)。中学では吹奏楽部に入り、顧問の先生に勧められたチューバを担当しましたが、なぜか吹くとしんどくてすぐに退部してしまいました。あとからわかったのですが、当時、僕は喘息持ちだったのであの楽器は体的に無理があったようです。その後、家族で旅行したハワイで親にウクレレを買ってもらい、すぐにはまって練習の日々。ジェイク・シマブクロさんの曲をコピーし、本気でウクレレ奏者のプロを目指して練習を重ねていました。そんなある日、動画サイトで“マヌーシュ・ジャズ”というジャンルを発見し、ウクレレでチャレンジするようになります。ジャンゴ・ラインハルト(Gt)の演奏に合わせて弾くなど、とにかく、中高時代はウクレレに無我夢中。そして、関西外国語大学に入学し、ジャズ研究会に入ろうとしたらコロナ禍真っ只中で活動は休止状態でした。再開した夏に意気揚々とウクレレを持って入部したものの、ジャズ・アンサンブルの楽器としては自分が馴染めず、ジャズのアルバムによく登場する楽器で演奏したくなり、トランペット、ドラムなどに手を出しましたが、最終的にたどり着いたのがベースでした。

ジャズの洗礼を受けたセッションタイム
家にあった安いエレキベースを弾いてみたら結構面白かったので続けることにしました。次第にウッドベースも弾いてみたくなり、中古の楽器を入手して2回ほどレッスンに行き、基本的なことを学んでからは見よう見まねで個人練習。本格的に目覚めたのはトミー・フラナガン(P)のアルバム『エクリプソ』を聴いた時です。収録曲「コンファメーション」のジョージ・ムラーツ(B)によるアドリブソロに感銘を受けたんですよ。この楽器でもフロント奏者と同様にソロができることがわかり、一気にモチベーションが上がりました。初めて学外のセッションに参加したのは大学に入学した翌年で、横尾昌二郎(TP)さん主催のセッションをのぞいてみたら、プロのミュージシャンが勢ぞろいしていて熱いプレーを楽譜なしで繰り広げていたのでびっくり! それがジャズでは当たり前だとその頃は知らなかったんですよね。それでも1曲だけ参加させてもらい、「コンファメーション」のアドリブソロを必死にとったら、2周目もやれと言われてがくぜんとします。ネタが尽きていたからです(笑)。要はこの日、僕は本当の意味でジャズの洗礼を受け、もっと上手くなりたいという強い気持ちが芽生えました。去年の春には杉山悟史(P)さんにお声がけいただき、初めてプロのミュージシャンとライブをご一緒させてもらい、それを機に、関西で活動している若手プロの方たちにもお誘いを受けるようになります。そうしているうちに自分もプロの道に進もうかなと思うようになりました。

Seiko Summer Jazz Campで学んだこと
Seiko Summer Jazz Campの応募理由は中村恭士(B)さんをはじめとする憧れの講師ミュージシャンにお会いしたかったし、東京にも行ってみたかったから(笑)。もちろん、ジャズを本格的に学びたいという気持ちはありましたよ。だって、ジャズは演奏しているとすごく楽しいじゃないですか。でも、もっと上手くなったらもっと楽しくなるんじゃないかという純粋な興味があったんですよね。授業がスタートするとハードなカリキュラムでしたが、これをクリアしたらニューヨークでも演奏活動ができるのでは?と思える時間でもありました。ジャズを好きだというひたむきな気持ちや貪欲な姿勢で探究していらっしゃる講師の方々を目の当たりにして、僕もあのようなミュージシャンになりたいと刺激を受けたのです。とはいえ、最優秀賞をいただけるとは全く思っていなかったので本当に驚きましたが、夢は広がりましたね。副賞として授与されたジャズキャンプ<Jazz Institute at Brevard Music Center>の参加権を手に6月の2週間は開催地のアメリカのノースカロライナ州Brevardに赴く予定ですが、それまでの間にどんな曲、どんなキーでもある程度対応できるようにしておこうと思っています。これは、恭士さんから教えていただいたことのひとつです。<Jazz Institute at Brevard Music Center>に期待していることは新たな友人との出会いです。願わくば先生とも親しくなり、大学卒業後のアメリカ留学の相談にも乗ってもらいたいなと思っています。


応募がチャンスに繋がるSeiko Summer Jazz Camp 2025!
大学1年の11月ぐらいにウッドベースを初めて約3年でSeiko Summer Jazz Campに参加した僕が、まさかの最優秀賞をいただきました。動画サイトを見て練習し、ジャムセッションに通っていただけの僕が、です! ですから、本気でジャズが好きなら迷わず応募することをおすすめします。参加したあかつきにはトップ・ジャズ・ミュージシャンから至近距離で教えていただけますし、むちゃくちゃストイックな姿に触れることもできます。ぜひ、あの素晴らしい先生方に直接会って指導を受けるチャンスを得てほしいです。
